●貧乏男爵令嬢は前世持ち ~なんだか王太子殿下に執着されてるみたいなんですけど、なんとか逃げ切ります~●

番外編―第1子妊娠中

お腹の大きくなってきたエルリーナはよくウトウトしている。
そんなエルリーナを自分の膝の上に乗せ、抱きしめているのがライオネルの至福のひと時だ。
まぁ、ここは執務室で、隣にいるガイアスが嫌な顔をしながらこちらを見ているが、そんなこと関係ない。

「ねえ、ライオネル」
「ん、起きてたの?」
エルリーナの頭のてっぺんにキスを送ると、エルリーナは少しくすぐったそうに身じろぐ。

「赤ちゃんの名前なんだけど……」
「うん」
「男の子だったら、ジロにサブロー。女の子だったらエムリーナにエスリーナって、どうかな」
ニコニコと自分を見つめるエルリーナが愛しくて、抱く腕に力が入る。

「いや、それおかしいだろう。あんまりだろう」
勝手に話を聞いていたガイアスが何か言っている。うるさい。

「可愛い名前だね。エルリーナの思うとおりでいいよ」
エルリーナが腕の中にいてくれるなら、それだけで幸せなのだから。



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